8月25日付日経新聞(道内版)は、札幌市の交通系ICカード「サピカ」について「ガラパゴスICだ」と手厳しい。

3大都市圏+札幌、福岡の交通系ICカードの中で相互利用サービスに未加入なのは札幌のみだそうだ。他の交通系カードをサピカエリアで使うことはできるが、サピカを他の地域で使うことはできないことが指摘の要因だ。

私は当時、市交通局でJR北海道との交渉の陣頭指揮にあたった。サピカ以前、札幌市には市営交通と民営バスの両方で使える「ウィズユーカード」という磁気カードがあった。「地下鉄+バス」の市内交通体系を料金面で支えるシステムである。1枚のカードの料金収入を異なる事業者で振り分ける、いわば運輸連合の基盤となり得る先駆け的存在であったと自負している。そのICカード化にあたっては当然バス会社の事情を優先する必要があった。この点、JRと私鉄事業者が議論を主導できる他都市とは決定的に異なる事情があったと思っている。長いものに巻かれるのがいいか、バス路線や停留所の改廃に機敏に対応できる小回りの利くシステムがいいか当時も議論が分かれたところである。

いずれにしてもICT技術の進歩はすさまじく、まもなくICカードを保持すること自体がガラパゴスとなるであろう。日経記事の指摘はあながち否定できないが、もはや次のZ世代の奮闘に期待するのみである。