来春はいよいよ統一地方選だ。「期日前投票」と言われる選挙当日に投票所に行けない人向けの制度は普及しているが、病院や福祉施設などの入所者で投票所に足を運べない人向けの「不在者投票」はご存じだろうか?

実は先の参院選では札幌市内533施設が不在者投票所に指定されているが、多くの施設で制度が活用されていない。不在者投票実施に当たっては、意思確認や代筆などのため入所者1人に職員2人が付き添うこととされている。不正防止のため第三者による外部立会人の配置制度が導入されているが、その配置は努力義務にとどまるため、札幌市内では外部立会人を配置した施設はわずか4か所にとどまっているとのことだ。

選挙管理委員会では、市町村職員退職者らに協力を求めて外部立会人の確保に努めているというが、成り手不足感は否めない。今後、公務員定年延長の機運もありさらに拍車がかかることは必至と思われる。

残念なことに、先の参院選では某市の特別養護老人ホームでの不在者投票において、施設関係者が公選法違反に問われる事件があった。付き添いの2人が示し合わせれば、入所者の意思と異なる投票も可能となることから起きた事件であるが、国民の最大の権利である選挙権を保障する観点からも見逃すことのできない社会的課題である。

そこで、行政書士を外部立会人として積極的に活用することを提案したい。そもそも我々には法律上の守秘義務が課せられており、当該義務違反は士業として廃業につながるという責任感を有している。国民の諸官庁への意思表示(手続き)をサポートし、権利保障に資するのは行政書士の役目である。より使いやすい仕組みへの改革も含めて、国民の権利を奪うことのないよう制度の周知徹底に期待したい。