巷では手取りを増やすための「年収の壁」の議論がかまびすしい。年収103万円、106万円、130万円などが所得税や社会保険料の壁と言われているが、基本的に会社務めのサラリーマンをベースに議論されており、個人事業主にも配慮が欲しいと思っている。
個人事業主には3つの「落とし穴」がある。一つは青色申告・確定申告における所得税・消費税で、調子にのって利益を計上すると思わぬ大きな税額となる。思わず振り返って、経費計上(控除)可能な支出がないかどうかあらためて検証するが、後の祭りだ。
二つ目、三つ目は前年度の収入をベースに算定される住民税と国民健康保険料だ。これらは確定申告時には見落としがちだが、思わぬ大きな額となって4~6月にかけて請求書が届く。特に国保料は所得に応じて保険料が急カーブで逓増していくので注意が必要だ。会社員と異なり、会社と個人で折半することは無いので増加額がもろに負担となる。申告後の後の祭りと言ってしまえばその通りだが、その請求額を見たときの負担感(=失望感)は特に大きく、まさに「国保の壁」である。
どこぞの政治家と違い、残念ながら裏金も裏帳簿もないので、妻からは「稼がなくていいから適当にやって」と言われる。老骨に鞭打ってチャレンジしている身にとっては、まさしく働く意欲をそぐような壁である。