東京オリンピックを巡り、ワシントンポストがIOC会長をBaron Von Ripper-off「ぼったくり男爵」と評したことは記憶に新しい。同紙は地方行脚で小麦を食べ尽くす王族のように開催国を食い物にする悪い癖があると指摘している。

思い返せば二年前、東京2020は暑さ対策としてマラソン・競歩の札幌開催がIOC主導で急遽決定された。いみじくも小池都知事が「合意なき決定」と言い放ったように、まるで札幌市の冬季オリ・パラ招致運動に餌をまくかの如くである。

一部報道によると、彼は東京2020開催期間中、都内の1泊200万円とも300万円とも言われる超高級ホテルに宿泊していると言われている。しかし残念ながら2030年の冬季オリ・パラ招致に名乗りを上げている札幌市には、今のところ五つ星級の超高級ホテルはない。

札幌市は今年度予算で、富裕層向け高級ホテルの誘致策の検討に調査費を計上しているが、市場原理に全面的にゆだねることなく税を投入してまで超高級ホテルを誘致しようとすることには違和感がある。

東京2020の一連の報道を踏まえると、あたかも五つ星ホテルの有無が五輪開催都市のおもてなし条件であるかの如しであり、五輪招致という“弱み”に付け込まれたものと穿った見方をされても仕方がないのではないか。ましてや札幌市側の「ぼったくり男爵」達に対する忖度だとしたら情けないことである。

一部の富裕層だけをターゲットにしたホテルの誘致策が”優遇策”にならないことを望むとともに、アスリートの世界にぼったくりや破落戸(ごろつき)がはびこらないように望むばかりである。