テレビドラマ『孤独のグルメ』の主人公 井之頭五郎は、とにかくよく腹が減る。その食べっぷりの良さは、食べ物を口に運ぶペースといい、その量といい、見ていてハラハラするくらいだ。彼は「眉間のしわ」で表現するといわれるくらい、しっかりと“役者が入っている”点が、単なる「大食い競争」番組とは異なる点だ。

この番組、食事風景に目が行きがちだが、雑貨店を経営している主人公 井之頭五郎の営業スタイルには、同じ個人事業主として学ぶべきところが多い。

彼の営業スタイルは“気楽な稼業”と思われがちだが、実は自分の個性を大切にして他とは異なる価値観を持ち、自分のペースで店を営み、周囲の意見や競争に左右されずに進む姿勢を持っている。

例えば、アポ先での明確な情報発信や顧客の要求の確認、顧客のニーズを理解するための対話力など、彼のコミュニケーション能力は、個人事業主として大いに参考とすべきものがある。

そして、コミュニケーションに行き詰まると「腹が・・・減った」と、それまでのビジネスシーンから食レポシーンに急展開するところがミソだが、常に自分のビジョンやスタイルを大切にし、外部のプレッシャーに惑わされずに業務を進める姿に、同じ個人事業主として共感と感銘を覚える番組である。